第2回インタビュー:
mojaさん
インタビュー
2018.10.18記事更新

すぎ
さてさて、mojaさんの歴史が分かったところで、価値観についていくつか質問したいと思います。先ほども自給自足に興味を持ったと言っていましたがmojaさんを察するにあたり、既存のインフラから少し距離をおいた生活を実践していますよね。以前にも自給自足やコンポストトイレなど実践していると話を聞きました。具体的にはどんなことをされているんですか?
moja
米作りや野菜作りをやってますよ。正確に計算したことはないけども、自給率5割はいってると思う。そしてコンポストトイレについては、畑を作っている人たちがなんでやらないのかと思っちゃうくらい素晴らしいものだと思ってる。汲取式のトイレになんでわざわざお金を払っているの?ってのが俺の考え。それ畑にとって宝なのにって(笑)。
すぎ
友人のおばあちゃんが子供の時に、糞便を畑に持っていくときに転んで落としちゃって、親にすごく怒られたっていうエピソードを思い出しました。当時は農家さんにとって本当に宝だったんですよね。 そして、もともと普通の高校生だったmojaさんがそういう考えに目覚めたのっていつくらいなんですか?
moja
8年前くらいからかな。震災のちょっと前から。それくらいからいろんな疑問点を感じ始めて。。。それまでは自然とか政治とかほとんど考えていなかったんだけどね。ニューヨークは最先端な考えがある反面、環境破壊そのものなところもあって、タイムズスクエアとか24時間煌々と広告が光続けて電気を浪費しているし。でもそういうところに住んだから逆に世の中の不自然さに気づけたんだと思う。
すぎ
同じ場所に暮らしているからでなく、比較できる街に暮らしたから気づけたと。
moja
ぐわーっと世の中を俯瞰して考えて、世の中こうなっていけばいいなっていう、どーんとしたものはあるけど、でもそれには一人ではできないし。。 どうしていったらいいんだろうって思った時に、「自然と寄り添う」ってのがしっくりきた。自分には笠岡に家があって、田んぼや畑、山がある。じいちゃんの田畑仕事をしていた背中を見ていたこともあるし、ああこれは笠岡の家に帰ってこういうことをするのが一番だって思ったんですよ。
すぎ
なるほど。いろんな場所で経験を積んだ後に、「自然と寄り添う」という考えに落ち着いたんですね。でも普通の人の暮らしからは、外れていますねー。
moja
うんそうそう、ちょっと前だとマイノリティな考え方であり暮らし方だったと思う。でも今、急速にそう考える人達が世界的に見ると増えてると感じてる。 それで、自分がじいちゃんくらいの年になったときに、孫くらいの世代に、じいちゃんは40年も前からこっちの方向を向いていたんだよって、後ろ姿見せれたらいいなと思っている。あ、結婚してないし、子どももおらんけどね(笑)。
すぎ
ははは、こんな父親やおじいちゃんがいる家族は楽しいでしょうね。後ろ姿を見せるとありましたが、次の世代に何を伝えて残してあげればいいと思いますか?この歳で言うのもなんですが。
moja
うーん、次の世代に残すものは、お金よりも「いい土」を残してあげたい。それが最高の財産になるかなと思ってる。この土さえあれば買わなくても生きていくことはできるよって環境を残してあげたい。

すぎ
おおー、すごい!土を残すって、なんかカッコいいですね。普段土について考えたことなんてなかったです。
moja
極端な話だけど、今の社会のシステムが壊われて、自分で安全な食べ物を手に入れたり作らないといけないような時代が来てもおかしくない世の中かなって思ってて。こないだだってアメリカの遺伝子組み替えの種子を作ってる企業が健康被害での訴訟で負けたところだし。安全な食べ物と水が手に入りにくい時代かなと、特に都会だと。
すぎ
極端な話ではあるけど、なんかリアリティはありますね。僕は趣味の範囲で猟銃免許を昨年とったんですが、食を自分で調達するっていう意味で何か通じるものを感じます。っていってもまだ狩猟したことないぺーぺーなんですがね(笑)。
moja
そういう考えには共感する!狩猟はまだしてないけど、燻製や毛皮のなめしも試行錯誤やってる。 手前味噌な話だけども、自分の田んぼで今年田植えをしてなかったんだけども、今年米がなってたんだよ。
すぎ
え?どういうところが手前味噌なんですか?で、なんで田植えしてないのに米がなったんですか?
moja
自分の田んぼでは7年前までじいちゃんが米を作っていて、その後その種籾を妹が継いで米を作ってたのよ。妹は3年間肥料も農薬も使わない自然栽培をしてて、そしてその後自分が2年また同じ種籾で自然栽培していき去年で6年。 で、今年は田植えもしてないし、トラクターも水も入れてないのに、今年米がなってたんだよね。これは去年の天日干ししていた時のこぼれ種があったり、他の田んぼよりも鳥がいっぱい来るんだけど、鳥がつついたものが散らばってたから。何もしてなく、雨の水だけなのになってた。
すぎ
稲本来の力で育った。自然の力はすごい!ってことですね。
moja
そう。はたから見たら、「ああいろんな草ボーボーで、たまになんか米ができてる」ってだけのことかもしれないけど、俺からしたら凄いことで、成果がすでに出てきている!って思って。
黒い穂の稲が雑草の中に自生したもち米
すぎ
勝手に生えたとかではなく、それは成果なんだと。
moja
慣行農法っていう一般的なやつは、2、3年で種もみを変えていくのがいいと言われているんだけど、俺はどんな種でも長い間継いでいった方がその土地にあった作物ができていくと思っていて、それがまさに今できてて、しかも何も手を加えなくても米が自生している。 もしも何かのきっかけで、水は雨しかないし、種も農薬も肥料も手に入らなくなれば、びっくりするくらい米ができなくなるのにそれに頼った栽培だけをすることにとても違和感を感じているんだよね。
すぎ
なるほど。でも今の慣行農法というのが多くの収穫量を支えてて有利だからみんなが行っているんですよね。
moja
そう、自分のやり方だと背丈がバラバラになってくるし、収穫量はいい土になるまで断然減る。技術的に慣行農法はすごいなって思うけども、でももし環境のことを考えてそういうものが使えなくなった場合、今の日本の米作りって、、俺の中では、疑問符だらけというか。。 収量が他の植物と共存する分減るけど、農薬や化学肥料なくてもできるし機械がなくてもできる、本来戦前とかはそういう作り方をして自給自足していたくらいだからそういう米作りをしたい。量が少なくても、最低限自分たちが食べれるくらいもしくはシェア出来るくらいになるといいけどちょっとでも自分で作ろうって人達が増えていけばって思う。
すぎ
すごい。自分で食べていく分だけを作っているはずなのに、大きなビジョンがありますね。

さて、熱い話の内容を変えちゃいますが、mojaさんヒゲ書道してますよね。
moja
してますよ。ヒゲ書道で世界を目指していますよ!
すぎ
なんかスケールが思ってた以上に大きかった。。いきなりヒゲ書道と言っても読んでる人は何のことか分からないので、、もはや、実演してもらえないでしょうか。
moja
何の文字を書こうか?
すぎ
では、米作りの話をしていたので、「稲」をお願いします!
moja
1文字だけで大丈夫?
すぎ
あ、それでは米作りでのキーワードでもあった「自然栽培」もお願いできますか?普通の半紙サイズしか無いのですが文字数多いですか?
moja
いや大丈夫だよ。いろんな要望に答えていかないと世界に通用しないからね(笑)。
すぎ
ではお願いします!!

moja
できました!

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