インタビュー#8 竜ちゃん
インタビュー
2019.09.17記事更新
インタビュー#8 竜ちゃん
今回のインタビューは、地域起こし協力隊からビール醸造家になった竜ちゃんです。にっしーさんからの推薦です!
すぎ
8人目は竜ちゃん!よろしくお願いします。
竜ちゃん
ところでにっしーさん、何で俺選んだんだろ?
すぎ
理由は、「聞けば聞くほど、いろんなことが出てきそうだから」だそうですよ。
竜ちゃん
そうですかぁ〜(笑
そう思われるのはありがたいことですわ。
すぎ
ということで、竜ちゃんといえば、麦プロジェクトです。
竜ちゃん
そうですねぇ。お世話になりました。
すぎ
「お世話になりました」ってことは、今は麦プロジェクトとしてはひと段落しているってことだね?
竜ちゃん
うん。ひと段落してるけど、そこで関わってくれた人たちが、イベントも祭りも来てくれている。僕の中ではプロジェクトは終わったけど、人の縁は続いてもろてるかなぁて。ありがたいことに。
すぎ
縁は続いてるんですね。2017年の六島で行われたビアフェスでは麦の種をみんなで植えるイベントがあったけど、2018年は植えるイベントはあったの?
竜ちゃん
みんなが六島に来てくれた10月のビアフェス時に植えたかったんやけども、まだちょっと時期的に早すぎたんよね。ほんまは11月の中旬くらいが望ましいんやけども。
すぎ
そうなんだ。
竜ちゃん
一昨年度みんなで植えられたのは、ほんまによかった。
すぎ
植えてくれた人のネームプレートを挿したりしててよかったよね。
さてところで、なんで「麦を植えよう!」と思ったの?

麦植えイベントでは、植えた本人が自分の名前をプレートに書いて側に挿した

竜ちゃん
なんで麦だったかって話ねー。
麦を植えるってことは、地域おこし協力隊として移住した当初は一切考えてなかったんよ。まずは、地元にいてはる人生の先輩の方々から昔の話を聞くっていうのをよくしてて。それが、自分が島で暮らすにあたって必要なことやから。
すぎ
うんうん。
竜ちゃん
昔の人が今の僕らのような若い時代を、どうやって送ったのかっていうのを聞いていったら、やっぱり畑を苦労してやられていたらしい。
で、「畑ってどこでやってたんですか?六島ってジャングルでしょう?そんなところでどこに作物を植えれてたんやろ」って聞くと、そしたら「山のテッペンまで」って聞いて…山のテッペンまで畑にしてたっていうのが信じられなくてね。
すぎ
上がるだけでもけっこうしんどい。そして、、今は森だよね…。
竜ちゃん
そう、森やねん。でも昔の航空写真とか見ると、ほんまに畑やって。
すぎ
へぇ〜!
竜ちゃん
僕が関西に住んでた時に、仕事で麦畑を通る機会があって、もうめちゃくちゃ美しいのよ。田んぼも綺麗なんやけど、麦ってほんとうに金一色に熟して、風が吹いたら綺麗にたなびくのね。その光景を僕は脳裏に焼き付けてて、それを島の草ボーボーのところに麦を植えて、海をバックにその光景が見れたら、なんて美しいんやろなぁって想像して。
すぎ
はぁ〜そうだねぇ。

開墾から始めて、六島で育った麦畑。(写真は2019年のもの)

竜ちゃん
それを思って「麦、植えよ!」ってなったのが、移住して2ヶ月後の6月やって。で、植えよって考えた時に、その麦を使って何をやったらおもしろいかっていうのまで、一気に考えちゃったんよ。お茶やはったい粉にしても食べれるし、でもいっちゃんおもろいのは何やろなって…みんなが喜んだり、自分もわくわくするものって、、、

やっぱりビールやって。
すぎ
竜ちゃん、普段から飲みまくっとったしなぁ。飲んだ空き缶が積み上がって壁ができるくらい(笑
竜ちゃん
はっはっは(笑!やっぱりもうビールやるしかないなぁって思って、六島のひとにはちょろちょろ言えてたんやけど、最初みんなにはあんま言えてへんかった。できるかどうかわからんやんか、想像できひんやん。で、まち会議でプロジェクトを募りだしたのが夏とかやったかな?
すぎ
うん、そうだね。
竜ちゃん
その時に、勇気を出して言ってみたんよね。仲間できたらめっちゃ嬉しいなぁって思って。そしたら、意外とバーっと来てくれて…それがすっげーありがたかった。そこからやねん、いろんな人に「ビールやります!」って言うとったんは。
すぎ
彼らに背中を押された?
竜ちゃん
押された。それが大きい。ほんっまに1人でそういうことをしようってなった時は、やりたいしワクワクすんねんけど、正直不安やし。ほんまにやっても、みんなオモロイって思ってくれるんかなっていう不安。
すぎ
あぁ、そこか。できないんじゃないかっていう不安じゃなくて。
竜ちゃん
そう、みんなにウケるかどうか。
すぎ
それって出身地が大阪だけに?
竜ちゃん
あー、そうゆう肌なんかな?ウケへんかったらみんな見てくれへんやん。六島ってすごいタフな地域やんか。
すぎ
遠くて行くのにお金かかるし。
竜ちゃん
そこでなんか事を起こすんやったら、ほんまにこれオモロそやなって言ってくれないと、続ける価値あるんかって。
すぎ
そりゃあ、そうか。
竜ちゃん
最初、まち会議で発表した時、実は足震えてて。まじで、ウケるかどうかめっちゃ不安やって。言うの、必死やってさ。
すぎ
僕はその場に居たけど、そんな風には見えなかったけどねえ。

それじゃあ話変わって、実際にビールをつくりたい人って、まずは何をするの?
「まず、決心する」から?
竜ちゃん
いや、決心はもうちょい先でいいと思う。僕は早すぎた。ビールの醸造の仕方すら、何にも知らん状態でやるって決めた。
まずは、僕みたいなそんなにお金持ってへん人でも開業できるんかを調べたってところからなんよ。小さくても、醸造所って成立するんかなとか。すごい高いハードルってイメージがあるでしょ?
すぎ
ある、ある。
竜ちゃん
そしたら、がんばったらできそうやし、ものすごい専門家をバンバン入れて巨額を使うっていう感じじゃないし、けっこうみんなの身近な素材でできてるから、これやったらウケるかなって感覚があった。で、まち会議で麦プロジェクトを進めつつ、秋に地域おこし協力隊の事例発表会で「ビールつくるんです!」って言いまくってて。そしたら、そこにいた方が近所の熱い醸造家を紹介しましょうか?って言うてくれた。それが、師匠である吉備土手下麦酒醸造所ヘッドブリュアーの永原さん。そこからビールの勉強を始めることができた。
すぎ
おお〜!師匠との出会い!
竜ちゃん
そう、あの出会いがなければあかんかった。その後永原さんのところへ行って、 「六島っていうところで、麦を育ててます」 「醸造所を開業したいんです」 っていうことを言うて。そしたら、永原さんのお弟子さんが始める醸造所を紹介してくれはって、そこで修行させてもらった。最初は何やってるかわからんくて、緊張感あるし、気を失いそうになるくらい暑いし。めっちゃつらかったけど、勉強させてもらって、だんだんわかってきて、ほんまがんばったらこれできるなって。
すぎ
めっちゃ神経使う仕事だよなぁ。
竜ちゃん
修行にいってる頃には、植えた麦から穂が出てて!やったー!見えて来たぞ!って。プロジェクトのみんなも六島まで麦を見に来てくれて、夏前にみんなで麦を刈って、空き家から千歯こきを借りてきて、脱穀して。

脱穀風景。手前が昔使われていた脱穀機(千歯こき)で奥がペダル式の脱穀機

すぎ
醸造は誰もできるってわけじゃないよね?
竜ちゃん
弟子入りをした醸造所に、証明書を書いてもらわなあかん。それがないと、ちゃんと技術を持った人って認識されないから。だから師匠は持たんとあかん。証明書のため以上に、そもそも師匠はほんとうに大切。
すぎ
時間はかかった?
竜ちゃん
僕は時間がかかったねぇ。書類も自分でつくっとったし。その道のプロにお金積んで頼めばすぐだったんやけど。でも、醸造所候補地の地主さんとの間に入ってくれた方と、いい人間関係が構築されるためには、時間は必要やった。
すぎ
そうか、六島でビールを作るっていうことは、そもそも空き家を貸してもらえるかの問題もあるんだね。
竜ちゃん
そう、今は六島に醸造所を作っているんやけど、その家を貸してもらうまで、漁師さんが間に入ってくれたんよ。
すぎ
漁師さんが??
竜ちゃん
ドラム缶を机代わりにして酒飲みながら、漁師さんが「おまえ、どこでビールつくるねん?」って。
僕は最初、当たり障りない空き家を言ったんよ。けど、「おまえ、そんなところじゃあかん!あそこでやれ!みんなそう思うやろ!」って、港のすぐそばのめっちゃいい家を紹介してくれて。
すぎ
うおお、いいつながりができてたんだなぁ。
竜ちゃん
借りれるって決まるまで、心臓バックバクやった。その土地の地主さんは六島には住んでなかったから、今までの資料全部持って会いに行って…嫌われたらあかんって思って、めっちゃ緊張して全部話した。

そしたら、「会って顔見た時からええって思ってた、貸すから」って言うてくれて。
すぎ
なんという、、涙出るな…。
竜ちゃん
帰りの電車で、魂が抜けるくらいため息が出た。はあぁぁぁぁ、よかったぁぁぁって(笑
すぎ
魂、ちゃんと引き止めた(笑?
竜ちゃん
いちおう戻ってきはった(笑。そっから、師匠に土地見つかりましたって報告して、税務署、消防署、保健所、いろいろまわって、土地の権利関係のことを整理して、その間に自分で図面を描いたりしてたら、一気に時間過ぎていって。

すぎ
それと当時は一緒に、地域おこし協力隊の活動もしてたわけでしょ?
竜ちゃん
そう。地域おこし協力隊と併行して、ホームヘルパーをさせてもらってたんやけど、島の人たちとの会話の中に、ニーズや可能性って隠れててね。会話の中からええヒント沢山もらったわ。
すぎ
そもそも、六島のお年寄りとの話から、麦を植えるアイディアも出て来たんだもんなぁ。関西にいるときは、全然違う仕事をしてたんだっけ?
竜ちゃん
食品の卸しをしてた。で、ばあちゃんが六島におるから笠岡で暮らすイメージがあって。お年寄りも多いから、介護福祉士の資格を持っとったらええなって思った。役に立つ人間やないと意味がないから。
すぎ
それで、介護福祉士の勉強をしたんだ。
竜ちゃん
サラリーマン辞めて、専門学校通って。
すぎ
で、3年ちょっと前に六島に住み始めたと。波乱万丈だねぇ。
竜ちゃん
振り回したねぇ、家族を。付いて来てくれて、がんばってくれてる。
ちゃんと仕事を成功させて継続させて、ちゃんとディズニーランド連れてってあげな。
すぎ
笠岡からはディズニーランド、遠いな〜(笑
竜ちゃん
遠いよ〜(笑
すぎ
さて、次のインタビューの候補者は?
竜ちゃん
よっちゃんで!
すぎ
ほー!今までのインタビューでは「できたら女からは男を指名」ってことにしてたんだけど、女性陣は「女性でもよかったらよっちゃんのインタビュー聞きたい」っていつもなってたんだよね。
さて、何でよっちゃん?
竜ちゃん
よっちゃんは、いてくれるだけで雰囲気できる、まち会議という場において必要な存在やし。
すぎ
なるほどね〜。
竜ちゃん
いろんなプロジェクトに関わってて、めっちゃがんばってくれてるから、よっちゃんにフィーチャーして欲しいなと!
すぎ
OK!じゃあ、今日はありがとうございました。

 

 

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